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安定同位体地球化学,原核生物進化,古大気化学
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46億年を通して地球生態系と大気・海洋の化学環境がいかに変遷してきたかを明らかにするため,地層に残された記録を安定同位体などを用いて解読しています.炭素や硫黄の安定同位体比は当時の生物活動や大気・海洋の物理化学過程を反映します.このシグナルを地層から掘り起こして古環境を復元するために,(1) 野外地質調査と岩石試料の分析を行っています. (2) 培養実験や現在の海底熱水・成層湖など極限生態系の観測を行い,微生物代謝による同位体分別挙動を明らかにしています.(3)室内実験によって大気光化学が生じる同位体分別過程の理解を深めています.また,地質記録を再現可能な惑星大気モデルを構築するため,他研究室と共同で古大気の数値実験にも取り組んでいます.今現在具体的に取り組んでいるテーマは以下のような物があります.
- 太古代/原生代の地質記録解読(地球表層の酸化過程と原核生物の進化)
- 光化学実験による波長依存同位体効果の研究(古大気の化学組成を推定)
- 非質量依存同位体分別を用いた鉛直一次元古大気モデルの構築(無酸素大気の温室効果)
- 培養実験による微生物代謝同位体分別過程の研究(過去の生物活動を検知する手法開発)
- 海底下熱水系など無酸素環境の観測と同位体生物地球化学(初期地球類似環境の解析)
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過去の地球は環境もそこに住む生物も現在と全く異なる別の惑星です.その記録を地層から引き出すことで生物の住む惑星の理解が深まります.そのための研究は野外調査から室内実験まで幅広いアプローチが必要です.もてる知識を総動員して本質の理解に迫りましょう.
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