第54回系外惑星系セミナー
   
日時 2009年4月23日(木)16:30〜
場所 東京工業大学 大岡山キャンパス 石川台2号館115号室

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スケジュール 16:30-17:30 伊藤 洋一さん(神戸大学)
17:40-18:40 佐々木 貴教さん(東京工業大学)
(講演順が入れ替わる場合もあります)

「あかり」による太陽系外惑星大気の探査と「すばる」による原始惑星の探査
伊藤 洋一さん(神戸大学)
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我々は、太陽系外惑星が持つ大気の組成や圧力、温度分布を知るために、赤外 天文衛星「あかり」による近赤外分光観測を行った。観測対象は、トランジットを 起こす代表的なホットジュピター HD209458である。この天体は、中心星のごく 近傍を公転するため、その有効温度は1000K程度と予想される。従って、3ミクロ ン付近にメタンの深い吸収バンドが存在すると考えられる。講演では、観測の結 果とともに、非常に高いS/Nのスペクトルを得るための工夫や障害についても発 表する。 次に、プレアデス星団に属する11個の若い矮星に対して行った、近赤外線の探査 について紹介する。観測の結果、いくつかの矮星の周囲12秒以内に複数個の暗い 天体を検出した。そのうちの二つは非常に赤く、天体の温度が非常に低い可能性 がある。講演ではこの天体を中心に、検出した天体の特性について述べる。
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周惑星円盤での衛星系形成とその多様性の起源
佐々木 貴教さん(東京工業大学)
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木星の4つのガリレオ衛星、および土星の衛星タイタンは、惑星集積の最終段階に 形成された周惑星円盤内で作られたと考えられている。本研究では、木星と土星の サイズの違いから、周惑星円盤内での衛星形成の環境に違いが生じる可能性に注目 した。この円盤環境の違いを考慮して衛星形成のシミュレーションを行った結果、 現在のような異なる衛星系が必然的に生まれうることが示された。また形成された 衛星系の組成や分化の程度に関しても、実際の衛星系と整合的な結果が得られた。 本セミナー的に興味深いのは、これら木星衛星系・土星衛星系が、近年見つかって きている短周期スーパーアース系と類似している部分が多々あることである。中心 天体のそばに存在すること、固体の天体であること、中心天体に対する質量比が 1万分の1のオーダーであることなど、いくつもの共通の特徴を持っている。 スーパーアース系の多様性の起源を、太陽系内の衛星系の多様性の起源から探る、 という視点からも議論を行いたい。
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