第57回系外惑星系セミナー


交通案内

※都内・近郊の方は、直接お越しくださるようお願い致します。

   
日時 2009年8月27日(木)16:30〜
場所 東京大学理学部1号館839号室
TV会議接続
スケジュール 16:30-17:30 海老塚昇さん(名大)
17:40-18:40 田近英一さん(東大)
講演順が入れ替わる場合もあります

太陽系外から飛来した流星
海老塚昇さん(名大)
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惑星探査機のダストカウンターや流星レーダ等によって太陽系外から飛来した 粒子が数多く検出されている。 UlyssesやGalileo探査機においては〜10^-15kg (直径〜0.1μm)の粒子の半数 以上、流星レーダにおいては〜10^-9kg (直径〜10μm)の粒子の数%が星間粒 子であると見積もられている。 IAU Meteor Data centerの銀塩写真カタログの-12〜0等 (10^-4〜10^1 kg 、 直径:5〜200 mm)やカナダのビデオ観測による 0〜9 等 (10^-9〜10^-4 kg、直径:0.1〜 5 mm)の流星のうち1〜2%が初速20km/s(近傍星に対する太 陽系の平均速度)で太陽系に突入した粒子の可能性があると報告されている。 ただし、これらの可視光観測データは速度等の精度が充分とは言えない。 重野 好彦氏(アマチュア流星観測者)が銀塩写真およびイメージ・インテン シファイア+ビデオカメラを用いて観測して軌道が求められている3,772流星に ついて調べたところ、複数の流星が太陽系外から飛来した可能性があることが 分かった。 重野氏の流星軌道データの精度、太陽系外流星候補の軌道について惑星による 影響の履歴等を検証する。 さらに太陽系外から飛来する流星のステレオ観測や分光観測を提案する。
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ハビタブルゾーンとスノーボールプラネット
田近英一さん(東大)
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惑星系におけるハビタブルゾーンは,惑星表面に液体の水が存在可能な軌道領 域として定義される.その内側境界は暴走温室条件で,外側境界は大気の温室 効果限界によって決定される.この軌道領域に大量の水を保持する地球型惑星 (=水惑星)が形成されれば,その惑星は地球のような海に覆われた「海惑星 (オーシャンプラネット)」になる可能性がある.しかし,水惑星の気候状態 には多重性があることが知られている.すなわち,たとえ水惑星がハビタブル ゾーンに形成されても,もし大気の温室効果が足りなければ,氷に覆われた 「雪玉惑星(スノーボールプラネット)」になるはずである.ハビタブルゾー ンより外側領域に水惑星が形成された場合には,そのような気候状態は恒常的 に維持される.このようなタイプの系外地球型惑星の存在は,将来観測によっ て確認される可能性が高いと考えられる.雪玉惑星の最大の特徴は,惑星内部 からの地殻熱流量によって氷地殻の下に液体の水が存在できるところにある. もしそのような環境でも生命の生存が可能ならば,ハビタブルゾーンの外側境 界は惑星質量に依存することになり,かなり遠方の軌道領域にまで拡大するこ とになるだろう.本講演では,そうした雪玉惑星の物理的特徴とその存在可能 性について議論する.
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