第59回系外惑星系セミナー


交通案内

※都内・近郊の方は、直接お越しくださるようお願い致します。

   
日時 2009年11月26日(木)16:30〜
場所 国立天文台 すばる棟一階 院生セミナー室
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スケジュール 16:30-17:30 田村 元秀さん(国立天文台)
17:40-18:40 百瀬 宗武さん(茨城大学)
講演順が入れ替わる場合もあります

太陽型恒星を周回する巨大系外惑星候補を直接撮像で発見
田村 元秀さん(国立天文台)
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すばる望遠鏡に搭載された新コロナグラフ撮像装置HiCIAOと補償光学系AO188を用いて、太陽型星を周回する系外惑星候補天体が直接撮像により発見された。発見されたのは木星質量の約10倍(最大でも40倍)の2つの惑星候補天体で、主星からの距離は、海王星と天王星の距離に相当する。その温度は約600Kであり、G型星伴星型天体の中では最低温度である。太陽型星の周りに、今回ほどはっきりとした惑星候補天体が撮像されたのは初めてで、我々の太陽系とよく似たサイズの惑星系において、木星よりも巨大な惑星候補が発見されたことは、今後の研究に大きなインパクトを与えるだろう。 すばる望遠鏡では、今後5 年間の集中的観測プロジェクトSEEDSが開始されており、太陽に似た惑星系が普遍的かという議論が可能になるだろう。
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原始惑星系円盤のミリ波サブミリ波観測 -ASTE,SMAからALMAへ-
百瀬 宗武さん(茨城大学)
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この講演では,最近我々がASTE10mサブミリ波望遠鏡やSMA(サブミリ波アレイ)を用いて行ってきた原始惑星系円盤観測研究について紹介した後,間もなく部分運用が始まるALMAに向けた展望を議論する。 ASTE望遠鏡では,2007-2008年のシーズンにおいて,波長1.1mmダスト連続波を観測できるAzTECカメラが搭載されていた。我々はこの装置を用い,On-the-flyマッピングという手法により,近傍星形成分子雲であるおおかみ座,カメレオン座領域を広域観測した。その結果,この領域に含まれるTタウリ型星のうち数十個から原始惑星系円盤起源と見られるダスト連続波をとらえ,これら領域でかつてない完全なカタログを構築しつつある。講演では特に,この中から見いだされた特異な2天体について解説したい。具体的には,ダスト温度が極端に低く円盤ダスト質量が大きなものと,巨大なinnerholeを持つとみられるものである。前者はダスト沈殿が進み今まさに微惑星形成が始まろうとする天体の,後者は惑星形成が内域で進展しつつある天体の,それぞれ有力な候補であり,惑星系形成過程を今後観測的に検証してい く上で非常に重要な対象になるであろう。 一方SMA観測については,太陽とは質量範囲が異なる2天体の結果について報告したい。1つは0.11太陽質量の星FN Tauであり,もう1つは2.5太陽質量の星HD142527である。原始惑星系円盤の性質が中心星質量に対してどのように変化していくかは,形成される惑星系の中心星質量依存性を探る手がかりになるだけでなく,円盤で起こると期待される素過程を詳細に調べる上でも,貴重な情報を与えるものと考えられる。 以上2つの研究も踏まえて最後に,今後の展望,特にALMA時代の観測研究や他波長観測との協力関係について議論する。
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