第60回系外惑星系セミナー


交通案内

※都内・近郊の方は、直接お越しくださるようお願い致します。

   
日時 2009年12月24日(木) 16:30-
場所 宇宙科学研究本部相模原キャンパス 研究管理棟6階1606号室
TV会議接続
スケジュール 16:30-17:30 瀧田 怜さん(宇宙研)
17:40-18:40 田村 隆哉さん(京都大学)
講演順が入れ替わる場合もあります

「あかり」中間赤外線全天サーベイによる T タウリ型星探査
瀧田 怜さん(宇宙研)
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赤外線天文衛星「あかり」は、波長 9, 18, 65, 90, 140, 160 um の 6 バンド で全天サーベイを行った。近・中間赤外線カメラ (IRC) による中間赤外線サー ベイでは空間分解能 ~9" で全天の 90% 以上を観測し、点源の検出限界は 50 mJy (9 um), 120 mJy (18 um) である。このサーベイによる点源カタログは、 11 月にチームメンバーに公開された。 我々は本カタログの評価と並行して、全天での T タウリ型星探査を行ってい る。T タウリ型星周囲の円盤は、主星の放射によって温められ、円盤起源の熱放 射は赤外超過として現れる。IRAS では分子雲に付随する T タウリ型星 (年齢 ~1 Myr: CTTS) の多くに赤外超過が見つかった。その後の ROSAT による X 線観 測では、分子雲に付随しない T タウリ型星 (~10 Myr: WTTS) が数多く発見され た。これらの天体は円盤の進化に伴い、円盤からの超過放射が少なくなり IRAS では検出されなかった。「あかり」は IRAS よりも感度が良く、このような進化 が進み超過の少ない T タウリ型星を検出することが可能である。 まず、パイロットサーベイとしておうし座周辺の ~1800 deg2 の領域に存在す る 307 (228 WTTSs + 62 CTTSs) の既知の T タウリ型星について調査を行った 結果、87 天体 (28 WTTSs + 52 CTTSs) を「あかり」で検出した。このうち 29 天体は IRAS では検出されていない、暗い天体である。一方、T タウリ型星は中 間赤外線の2バンドだけでは銀河や AGB 星と似た色を持つため、他波長のデー タを組み合わせて分類を行った。まず、可視・近赤外の色等級図により、銀河を 取り除くことができた。次に近赤外と「あかり」による二色図から AGB 星と T タウリ型星を分けられることが分かった。
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原始惑星系円盤の散逸について(仮)
田村 隆哉さん(京都大学)
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原始惑星系円盤における円盤ガス散逸は、ガス惑星形成だけでなく微惑星形成にも関わる 重要な問題であり、光蒸発は特に質量の大部分を担う円盤外側で、 ガス散逸を担う主要な機構の一つであると考えられている。 とりわけ、星の多くはクラスタ内で形成されるため、 クラスタ内の近傍の大質量星からの強い紫外線によって引き起こされる 原始惑星系円盤の光蒸発過程を調べることは、一般的な円盤進化を 知る上で重要である。 実際にこのような系がオリオン星雲トラペジウム星団内に、 電離面を伴なう原始惑星円盤として観測されている。 セミナーでは光蒸発と中心星へのガス降着を組み合わせた円盤進化モデル、 および円盤からの光蒸発流の数値流体計算の結果を紹介する。 また計算結果と観測されている 原始惑星系円盤の半径や電離面の位置との比較によって、 このモデルの妥当性について議論する。
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