第73回系外惑星系セミナー


交通案内

※都内・近郊の方は、直接お越しくださるようお願い致します。

   
日時 2012年01月12日(木) 17:00-19:30
場所 東京大学本郷キャンパス1号館807号室
TV会議接続会議室番号:
スケジュール 17:00-18:00 諸田智克さん (名古屋大学環境学研究科)
18:10-19:10 黒川宏之さん (東京工業大学)
講演順が入れ替わる場合もあります

後期重爆撃は本当にあったか?〜月裏側の衝突盆地の層序からの検証〜
諸田智克さん (名古屋大学環境学研究科)
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月から持ち帰られた岩石サンプルの年代測定に基づいて、 Tera et al. [1973;1974] は39億年前に 「後期重爆撃期」と呼ばれる天体衝突頻度のピークがあったとする 説を提案した。 しかし、この説に反対する月研究者は多く、 持ち帰られた岩石 サンプルは少数の衝突盆地の年代を反映しているだけ、という解釈もある。 一方、 最近では後期重爆撃期の原因として、 太陽系初期に起きた巨大惑星軌道の移動と 関係づける説もだされるなど、 後期重爆撃期の有無は太陽系進化の描像に関わる 重要問題となっている。 本研究では、「かぐや」地形カメラで得られた 画像データを用いて、月の裏側にある衝突盆地の形成年代の推定を行った。 その結果に基づいて、後期重爆撃仮説の検証を行う。
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地球型惑星の円盤ガス捕獲大気形成と大気散逸
黒川宏之さん (東京工業大学)
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 惑星大気の透過光や大気自身の放射光の観測により、系外惑星 大気の組成の情報を得ることができるが、近い将来、地球サイズ の岩石型系外惑星の大気観測が実現されると思われる(Kaltenegger et al., 2011 など)。太陽系の地球型惑星に加え、多くの系外 惑星の大気情報が得られる ことにより、惑星大気の統計的議論 が可能になる。系外惑星大気の観測結果を議論する上で、大気の 形成進化理論との比較が必要である。  惑星大気は一般に原始惑星系円盤ガス捕獲による一次大気と、 形成時から起こる脱ガスによる二次大気を起源とし、中心星から のEUVなどによる大気散逸をうけて進化する。現在の太陽系地 球型惑星の大気については、希ガス存在度の観点から脱ガス大気 が主成分だと考えられている(Brown and Harrison, 1949 など)。 そのため、円盤ガス捕獲に関する研究は十分に行われてこなかっ た。しかし、惑星形成論によれば、円盤ガスの中で惑星が集積す るため、円盤ガス捕獲が起こることが自然に考えられる(Ikoma and Genda, 2006など)。従って、原始惑星系円盤中に存在する 原始惑星を初期条件とし、円盤散逸、その後の大気散逸を考えた 大気進化モデルが必要である。  本研究では原始惑星系円盤散逸時の大気、惑星内部の熱進化計 算と、中心星からのEUVによるその後の大気散逸を計算することで、 地球型惑星大気の進化を追い、惑星の形成史、中心星からの距離 などのパラメータに対する依存性を明らかにし、系外惑星大気観 測結果を解釈するのに有効なモデルの作成を目指す。セミナーで は開発中のモデルを紹介すると共に、今後の展望について述べる。
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