第74回系外惑星系セミナー


交通案内

※都内・近郊の方は、直接お越しくださるようお願い致します。

   
日時 2012年03月01日(木) 17:00-19:30
場所 東京工業大学 石川台6号館404B
TV会議接続会議室番号:
スケジュール 17:00-18:00 相川祐理さん (神戸大学)
18:10-19:10 武藤恭之さん (東京工業大学)
講演順が入れ替わる場合もあります

星形成コアにおける分子組成進化:分子組成進化、D/H比、円盤形成
相川祐理さん (神戸大学)
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高密度星なしコアから原始星コアに至る球対称星形成モデルを用いて、そこでの 分子の存在度とD/H比の進化を調べた。その結果以下のことが分かった。 ・近年Hot Corinoとして観測されている大型有機分子は原始星エンベロープの高 温領域(T>100K)において時間ととも増加する ・Warm carbon chain chemistry(昇華したメタンからの不飽和炭素鎖分子生成) はエンベロープ密度が下がるにつれて効果的になる ・大型有機分子と炭素鎖分子は低温期に作られたメタノールやメタンを材料に生 成される。よってこれらの分子生成が高温領域(>数10K)で起きても高いD/H比をもつ ・原始星では高いCH2DOH/CH3OH比が観測されているが、これを再現するには氷マ ントル上でのCH3OH+Dの交換または引き抜き反応が必要となる。また、この反応 はマントル上のD原子を減少させ、HDO/H2O比など他の分子の存在度やD/H比に大 きな影響を与える ・球対称的に落下してきた星間物質が円盤に取り込まれ、長時間(\sim 10^4-10^5 yr)円盤内に滞在すると、エンベロープでは少なかったHCOOCH3や CH3OCH3が生成する。すなわち、エンベロープと円盤では分子組成が異なる。
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SAO 206462に付随する円盤における渦巻き構造とその理論的示唆
武藤恭之さん (東京工業大学)
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 SAO 206462の周囲の原始惑星系円盤の、近赤外線Hバンドによる偏光撮像観測 の結果について報告する。すばる望遠鏡に取り付けられた最新の観測装置を用い ることによって、中心星から約30天文単位より離れた領域を約8天文単位の空間 分解能で捕えることに成功した。その結果、SAO 206462周囲の円盤には、これま での観測で「穴」が存在すると示唆されていた領域にも近赤外線の散乱光成分が 観測され、さらに非軸対称な渦巻き状の構造が存在していることが分かった。本 発表では、この渦巻き状構造について、密度波理論を用いて力学的に円盤の温度 構造を推定する手法について紹介し、電波観測とは独立な円盤の物理状態の推定 方法について議論する。本観測は、すばる望遠鏡を用いたSEEDS (Strategic Explorations of Exoplanets and Disks with Subaru)プロジェクトの一環とし て行われた。
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