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国際天文学連合 (IAU) 総会で2006年8月24日に太陽系の惑星の
定義が以下のように決まりました。
(1) 太陽を周回する天体で、
(2) 自己重力が固体強度を上まわって球形になり、
(3)(重力で)自分の軌道の近傍の他天体を掃きちらしているもの。
当初はシンプルな(1)+(2)で考えようという案が提出されました。
その場合は冥王星、カロン、セレス, 2003UB313
なども該当することになります。しかし、それらの天体と
他の太陽系惑星の間のあまりに大きな質量差や軌道の違いなどから、
議論の結果、(3)の条件も付加されました。その結果、(3)に該当しない
冥王星は太陽系惑星のカテゴリーから、はずれることになりました。
「惑星」の定義について、これだけの沸騰した議論がおこり、
定義案が二転三転したのは、まさにこの十年間で、
太陽系や太陽系外の惑星系についての知見が急激に深まっていると
いうことの証に他なりません。観測技術の飛躍的向上によって、1992年になって
冥王星軌道の外を周回する天体(カイパーベルト天体)が
はじめて発見されました。その後、1000個以上ものカイパーベルト天体や、
カイパーベルト天体と彗星との中間的軌道を持つ天体群(散乱円盤天体)が
多数発見されました。散乱円盤天体の発見の中には2003UB313やセドナのように
冥王星クラスの大きさをもったものもいくつも含まれています。
さらに、銀河系の太陽型恒星の5%以上に巨大惑星がまわっていることが
わかってきました。1995年以来現在までに200個もの
太陽系外の惑星が発見されました。
一方で、コンピュータ・シミュレーションの発達などにより、太陽系
の天体がどのようにして生まれたのかが、かなり明らかになってきました。
このような状況のもと、科学者は「惑星」とは一体何なのか、整理し直す必要に
迫られる状況になりました。整理の仕方によっては、上記(1)+(2)のように
冥王星はおろかカロンやセレスまで惑星に入ってしまいますが、
条件(3)を加えた国際天文学連合の決定は、
質量として非常に小さい冥王星以下は惑星とは呼ばず別のカテゴリーと
呼ぼうというのが多くの科学者の意見だったということを表します。
科学というものは、固定概念や既成概念にしがみつくものではなく、
新たな実証や発見によって状況の変化があれば、すぐに議論を戦わせて、
認識を刷新していこうとするものです。惑星を増やそうとか減らそうとかいう議論が
起こったのは、まさに科学のダイナミズムに他なりません。
それは迷走でもドタバタでも政治的思惑でもなく、常に真摯に自己刷新を
し続ける科学、科学者の姿そのものです。
新たに採択された解釈は、冥王星を「辺境の孤独な惑星」ではなく
「多数の天体群(カイパーベルト天体群)を率いるリーダー」とみなそうと
いうものであって、もう冥王星のことは考えないという「格下げ」では
決してありません。
今回の議論は、太陽系「内」においての惑星の合理的定義を考えたものでした。
太陽系「外」には多様な姿の惑星が発見されています。それらも含めて、
「惑星」とは何ぞやという問を、科学者は今後とも考えていかねばなりません。
これからも議論は続きます。
20世紀初頭までは、天文学イコール太陽系の惑星の学問であったと言っても
過言ではありません。その後、天文学は太陽系を越え、銀河系を越え、
137億年前の宇宙創生まで迫りました。ところが、今、
再び天文学の最前線に惑星が戻っているのです。それが今回の
惑星の定義見直しの問題の本質だと思います。
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