研究内容紹介

(1) 原始惑星系円盤の形成と進化

 太陽系のような「星・惑星系」は,中心星を取り囲む「原始惑星系円盤」から誕生したと考えられています。この原始惑星系円盤そのものが,どのようにして形成され,進化し,惑星を形成するにいたるのかを明らかにすることが目標です。
この目標を達成するために,
 ・輻射輸送数値計算を駆使したシミュレーションと観測データの比較
 ・原始惑星系円盤の物理的・化学的進化の理論的シミュレーション
などを行っています。

(2) 原始惑星系円盤内のダスト粒子の進化

 原始惑星系円盤は主に水素・ヘリウムのガスからなりますが,その中に1wt%ほどの固体成分(氷・シリケイト・金属など)が微粒子として含まれています。この固体微粒子をダスト粒子と呼びます。これらは最初は0.1ミクロン程の大きさでしたが,それが最終的に10,000kmほどまで合体・成長して地球などの惑星が誕生したのです。
 私たちは,円盤中のダスト粒子がどのように進化して惑星にいたるのかを調べています。
特に,大きさが1mm程までの時代に注目し,
 ・円盤中ダスト粒子に対する加熱現象の理論的研究
 ・惑星構成物質(特に,コンドリュールなどの小惑星物質)の進化の理論的研究
を行っています。

(3) 星形成過程

 太陽のような星そのものがどのようにして形成されたのかという問いは,まだまだ十分には解明されていない問題です。特に,太陽よりも10倍以上質量の大きな星では,研究が進んでいません。そのような大質量星の形成段階では,中心天体からの強い輻射による輻射圧が重要な役割を担うと考えられています。
 私たちは輻射輸送計算の経験を生かして,輻射圧の効果を考慮し,大質量星形成過程の理論的研究を行っています。

(4) 系外惑星

 惑星の大気の性質や観測可能性を調べています。
 大気の温度は,中心星の光で加熱される一方,大気から宇宙に向かっての放射で冷却され,そのバランスで決まります。大気の組成や量,温度などにより,大気の温度がどうなるかを調べています。
 また,系外惑星の大気を調べる手段として,大気を透過した光の観測が行われています。このとき,惑星大気のどのような性質が読み取れるのかを調べています。

 

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