研究の概要・目的
様々な恒星の周りに存在する多様な惑星系(系外惑星)を発見し、その性質を観測によって明らかにしています。これをもとに、惑星系の形成と進化の統一的な理解を目指しています。
現在は主に太陽型星、中質量星、低質量星などを対象とした巨大惑星及び地球型惑星の探索を進めています。観測には国立天文台の望遠鏡(岡山観測所188cm望遠鏡・ハワイ観測所8.2m望遠鏡)や石川台2号館屋上に設置した30cm望遠鏡を使用し、東アジアを始めとする世界各地の研究者との共同観測も積極的に推進しています。
また、系外惑星の観測研究に必要な解析ソフトウェアの開発・高精度化にも取り組んでいます。他にも、惑星を持つ恒星の性質(化学組成、恒星振動など)を明らかにする研究や、惑星形成論の理論グループとの共同研究も行っています。
系外惑星とは
夜に空を見上げると、星々が輝いて見えます。
この星々のように、自ら輝いている星を「恒星」、そしてその周りを公転している天体を「惑星」といいます。
太陽系では太陽が唯一の恒星で、惑星には水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8つがあります。そして、夜空にはたくさんの恒星があるので、「太陽系のように、恒星の周りを公転する惑星があってもよさそうだ。」と、天文学者は考えました。そこで、実際に、太陽以外の恒星の周りを公転する惑星を発見しよう、と、太陽以外の恒星の周りを公転する惑星探しが始まりました。
このような、太陽系の外の恒星の周りを公転する惑星のことを、「太陽系の外の惑星」ということで、「系外惑星」と呼びます。この系外惑星の探索は何十年も前から始まりましたが、最初に発見されたのは、1995年、つまりたったの15年程前のことです。
そして、今、世界中で系外惑星の探索が盛んに行われています。
観測装置
佐藤研でよく使用する、岡山観測所と東工大石川台の望遠鏡を紹介します。
岡山観測所
ドップラーシフト法とトランジット法での観測ができます。
東工大石川台望遠鏡
トランジット法での観測ができます。
系外惑星の発見方法 -ドップラーシフト法-
系外惑星の観測方法の一つであるドップラーシフト法を紹介します。
ある星に惑星が存在すると、その中心星は惑星の重力作用によって微妙に揺さぶられ、上に赤で描いたような楕円軌道を描くようになります。
この中心星のふらつきを地上から観測すると、下の図のように、観測者に近づいてくるときと観測者から遠ざかるときが交互に周期的に観測されます。
理科年表オフィシャルサイトよりこのようなsinカーブがデータ解析により得られると、惑星の存在を証明することができます。
岡山観測所での系外惑星の発見
岡山観測所では、これまでに30個の系外惑星を発見しました。巨星を回る惑星の発見数は世界トップです。
- 質量は木星の数倍~数十倍→巨大ガス惑星
- 公転周期は約140〜990日(軌道半径約0.7〜2.6天文単位)
- 中心星(巨星)の質量は太陽の約2〜3倍、大きさは約10倍
系外惑星の発見方法 -トランジット法-
系外惑星の観測方法の一つであるトランジット法を紹介します。
地球から見て、惑星と恒星が一直線に並ぶと、恒星からの光は惑星によって一部遮られます。このとき恒星の光は強さが一時的に弱くなったように観えるので、このような減光が周期的に観測されれば、惑星の公転運動の証拠となります。
また、減光率から恒星と惑星の面積比が分かります。さらに恒星の半径が別の考察により分かっていれば、惑星の半径も分かります。
惑星の質量が別の観測により分かっていれば、惑星の密度も分かり、そうするとその天体が木星のようなガス惑星なのか、地球/海王星のような岩石/氷惑星なのか、といった惑星の性質が分かります。
東工大石川台望遠鏡での観測
地球惑星科学科の1年生が授業で行った観測の結果です。(2010/11/08 取得)