第195回 | |
日時 | 平成11年4月28日(水)17:00より |
場所 | 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室 石川台2号館315号室 |
講 演 者: | 伊藤元雄(東京工業大学理工学研究科) |
講演題目: | SIMSによるCAIの酸素同位体の微小領域測定 -隕石の酸素同位体分布からわかった初期太陽系での出来事- |
内容: | Allende隕石はCAI (Ca, Al-rich Inclusion)と呼ばれる白い塊を含んでいる。 CAIは数ミリから数センチ程度の大きさで、主としてメリライト、輝石、スピネ ル等で構成されている。放射性同位体の崩壊現象に基づく年代決定法によ れば、年齢は約46億年である。またCAIは難揮発性鉱物で構成されているた め太陽系の形成過程の高温期を乗り越えて、初期の頃の情報を保持してい ると期待されている。本研究では、超高分解能二次イオン質量分析計(SIMS: ims-1270)を使用し、Allende隕石から取り出したCAIを構成するそれぞれの鉱 物だけはでなく、一つの鉱物内の酸素同位体比の分布も詳しく測定した。 今までの酸素同位体測定の手法では原始太陽系の初期状態に16Oに富む CAIの元物質があるという事以外は、CAIの生成過程や太陽系の初期状態に 関する情報が十分得られていなかった。本研究によりSIMSによる微小領域分 析を用いて、16Oに富むCAIの元物質の存在が確認されると共に、初期太陽系 星雲中で繰り返し加熱が起こったという証拠を見い出した。 |