第203回 | |
日時 | 平成11年7月28日(水)17:00より |
場所 | 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室 石川台2号館315号室 |
講 演 者: | 鍵 裕之(東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設) |
講演題目: | 化学からみた地球科学 |
内容: | 水溶液はものを溶かすことによって水分子同士の水素結合を弱めていきます。また、液体の水は圧力をかけられることで水素結合を強め、やがては相転移をして氷になります。このような水素結合に関連する物理化学的な現象は、実験室の中だけでなく地 球内部でも起こっているはずです。例えば水を含有しうる地球深部物質は、ケイ酸塩骨格との間に非常に強い水素結合を持つことが明らかになってきました。また、高圧下で見られる金属水酸化物のアモルファス化も水素結合と水素原子間の反発力とのバ ランスで起こることがわかってきました。 水にまつわる話題とは多少ずれますが、我々は微量元素、例えば希土類元素が鉱物のどの場所にどのような状態で入っているのか、と言う問題にも興味をもっています。この問題は、結晶が成長する最表面で希土類元素がどのように結晶表面に働きかけていくのか、という問題とも密接に関わってきます。マンガンノジュールにみられる正のセリウム異常は本当に4価のセリウムからの寄与なのか?、水溶液から炭酸カルシウムが析出する過程で希土類元素がいかに振る舞うのか、といった話題も紹介しようと思います。 |