第207回  
日時 平成11年12月8日(水)17:00より
場所 東京工業大学石川台2号館315号室(地球惑星科学教室会議室)
講 演 者: 伊藤孝士(国立天文台天文学データ解析計算センター)
講演題目: 惑星系・原始惑星系・系外惑星系の安定性と軌道進化を追う
簡単な計算
内容: 私達の太陽系惑星の軌道運動は一体どの程度安定であるのか?これを知るためのひとつの方途として、単純な惑星軌道進化の数値積分を十億年程度の期間行った。惑星運動はカオス的な数学的性質を持ってはいるが、十億年程度の時間スケールでは不変的に安定だろうと思われる結果が出つつある。また、地球型惑星と木星型惑星の間隔の差異に関心を持ったことに端を発し、地球近辺にある中質量の原始惑星系の安定性をごく簡単な数値実験によって検証してみた。この実験の結果から現実の原始惑星系の進化について言えることは少ないが、力学的にやや興味深い幾つかの素過程が実現される可能性があることがわかったので、これを紹介する。また、同様な手法は太陽系外惑星系の安定性を試験する手段としても使用可能である。時間があれば幾つかの例を参考にしてこれについて触れたい。