第212回  
日時 平成12年5 月31日(水)17:00より
場所 東京工業大学石川台2号館315号室(地球惑星科学教室会議室)
講 演 者: 台坂 博(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)
講演題目: 土星リングの謎
内容:  1610年、ガリレオの望遠鏡による観測によって土星のリングは発見された。惑星リングの起源自体大きな謎であるが、そのリングの中に発見された内部構造にも謎が含まれている。1980年代初めに探査機ボイジャーの観測によって、それまで一様と考えられていた土星リングの中に、さまざまなスケールの非一様な構造の存在が明らかになった。土星のリングは、幅10〜100kmの明るさの異なる無数の同心円状の円環からなっている。また、星の掩蔽を利用した観測により、一つの円環の中に更に細かい、100mスケールの構造があることが発見されている。
 このような構造は、リングを構成しているリング粒子の数密度の差異を表していると考えられている。しかし、そのような密度の凸凹が拡散せずに、どのようにして保たれているのかについてははっきりと理解されていない。
  本セミナーでは、このようなリング構造や起源の謎を解明するために、現在までに行なわれているリングのN体シミュレーションの結果について簡単に紹介する。また、リングの問題が解決すると太陽系形成論にどのような寄与が可能かについてもコメントしたい。