第213回  
日時 平成12年6 月14日(水)17:00より
場所 東京工業大学石川台2号館315号室(地球惑星科学教室会議室)
講 演 者: 吉田尚弘(東京工業大学大学院総合理工学研究科)
講演題目: 地球温暖化ガスのサイクルを大気酸素の減少とアイソトポマーで追跡する
内容:  地球表層物質は、物理的・化学的・生物的および地学的な過程で循環している。地球温暖化ガスなどのサイクルを理解するには各リザーバの濃度やフラックスなどの地道な観測が必要である。しかし観測は時空間的に限られ、リザーバ間のグロスのフラックスは巨大で、見積もり精度が往々にしてネットフラックス程度になってしまう。
 存在度やフラックスに加えて、関連物質の挙動や、同位体が良いトレーサーとなると期待される。温暖化ガスが増える一方で、大気酸素が減っているというショッキングな事実が、そのサイクルを理解するのに役立ちつつある。また、環境物質には、同位体の違いや、その位置と組み合わせで、性質が少しずつ異なる同位体分子種:アイソトポマーが存在する。アイソトポマーの解析で、その物質の起源、生成過程・環境、変質過程、消滅過程・環境を知ることができる。計測法、観測、シミュレーション実験、簡単なボックスモデルなどについて例示する。