第216回  
日時 平成12年9月7日(木)17:00より
場所 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室
石川台2号館315号室
講 演 者: 橘 省吾(東大地惑)
講演題目: 原始太陽系の化学進化:Mg/Si分別
内容: 始源的隕石は化学組成のバリエーションからグループ分けされるが、これは原始太陽系星雲内で元素分別過程を経た結果だと考えられている。始源的隕石では Mg と Si という主要元素の比に変動が見られるが、この両元素は地球化学的性質が似通っているため(どちらも親石元素)、珪酸塩と金属鉄のような物理的性質(密度、磁性)の違いだけで分別することは難しい。蒸発や凝縮過程の中で、揮発性の違いから、組成の異なる固相と気相に分かれ、それらが分別されるということを考える必要がある。過去には平衡凝縮論に基づき Mg と Si の分別が議論されてきた。

しかし、分別過程のあった原始太陽系星雲の力学的・熱的進化を考えると、果たして平衡で議論を進めてよいのだろうか。講演では、実験による珪酸塩の蒸発や凝縮反応カイネティクス・得た速度データの原始太陽系星雲の物理条件への適用・予想される原始太陽系での元素分別過程について紹介させていただく。