第236回 | |
日時 | 平成14年1月30日(水)17:00より |
場所 | 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室 石川台2号館315号室 |
講 演 者: | 杉田 精司(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻) |
講演題目: | 無生物時代の地球への天体衝突による有機物の供給について |
内容: |
生命の誕生は言うまでもなく地球史上の非常に重要な事件である。しかし、その実体
はほとんど分かっていない。例えば、生命の誕生を理解する上で最も重要な問題の一
つは、有機物供給のパラドックスである。つまり、生物の構成物質(有機物)は生物
が自ら作り出しており、無機化学的過程では生産されない。しかし、最初は生物の力
を借りずに有機物を作る必要があるということである。このパラドックスを解くこと
は現在の多くの研究者のテーマとなっており、これまでに雷放電、紫外線照射、宇宙
線照射などによる無生物的有機合成過程や、隕石・惑星間塵中の有機物質の地表への
直接供給など様々なプロセスが提案されてきた。しかし、それらいずれも一長一短が
あり定説となるには至っていない。 本講演では、天体の高速衝突が原始地球において 有機物を大量に生産した可能性について議論する。特に、最近我々が開発してきた高 速分光測定法により明らかにされた天体衝突時の新しい物理プロセスを紹介し、それ が無生物的有機合成にいかに結びつきうるかを解説する。 |