第237回 | |
日時 | 平成14年6月12日(水)17:00より |
場所 | 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室 石川台2号館315号室 |
講 演 者: | 橋本じょーじ (東京大学気候システム研究センター) |
講演題目: | 金星気候システムの安定性 |
内容: | 金星の気候システムが45億年の時間スケールでどのように進化 してきたかを明らかにすることは、地球と金星でその表層環境が 大きく異なっていることの意味を考える上でも重要な問題である. 気候進化を論じるためには、気候システムをコントロールするメ カニズムを特定し、その影響を理解する必要がある.金星の気候 システムを考える上で重要となる過程には、高温高圧下での大気 と惑星表面の化学反応、光化学反応による雲生成、雲による日射 の反射、大気と雲の温室効果、などが挙げられる.本講演ではこ れらの過程が結合することによって生じるフィードバックを検討 し、そのようなフィードバックが金星気候システムに与える影響 を考察する. |
講演者はしもとじょーじ博士
なごむ聴衆者達
ゼミ風景
今回ははしもとじょーじさんをお迎えして「金星の表層大気」という題で講演していただきました。
金星の現在の大気環境(地表面で90気圧、730K、大気主成分がCO2)がどのようなメカニズムで維持され、そして今の金星気候が気候変動の少ない安定な状態であるかどうかについて最新の研究結果とともにお話されました。現在の気候環境は地表面と大気との相互の化学反応により実現されており、その反応によって金星気候が決められているようです。現在、気候環境を説明するシナリオが2つほど提案されていますが、現段階では地表面構成物質の不定によりどちらのシナリオを採用するかは議論されているそうです。また、今回のお話を聞き、金星大気研究にもまだまだチャレンジするべきおもしろい問題(45億年を通してどのような進化をして今の気候になったのか、また金星環境は地球とかなり違うがその原因は何か)が山積みであると感じました。今後の観測技術、金星ミッション、理論の精密化などによる金星気候の解明に期待したいです。
はしもとじょーじさんは、ミドルネームを持った(でも、生粋の日本人ですよ)大変洒落た気さくな方です。最近、金星サークルという「金星について勉強しましょう」という会を立ち上げたそうです。金星にかかわらず惑星表層環境に興味がある、または勉強したいという方はじょーじさんに御一報を!!