第241回 | |
日時 | 平成14年9月11日(水)17:00より |
場所 | 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室 石川台2号館315号室 |
講演者 | 井上和仁(神奈川大学理学部生物科学助教授) |
講演題目 | 光合成の初期進化―酸素発生型光合成システムの成立― |
内容、 | 現在の地球大気に含まれる分子状酸素は光合成の副産物である。光合成は植物や光 合成細菌によって行われるが,水を分解する酸素発生型の光合成は,植物とシアノバ クテリア(藍藻)によって行われる。シアノバクテリア以外の光合成細菌は,水を分 解することができず硫化水素や有機物を使って非酸素発生型の光合成を行う。植物の 光合成は,葉緑体と呼ばれる細胞内小器官で行われるが,細胞内共生説によれば葉緑 体はシアノバクテリアの祖先が,別の生物に共生して成立したものなので,酸素発生 型光合成はシアノバクテリアの進化によって始まるものと考えられる。 シアノバクテリアは光化学系1と光化学系2の二種類の反応中心を持つが,他の光 合成細菌は,光化学系1型または光化学系2型のどちらか一方しか持たない。シアノ バクテリアの進化・起源を考えるために,シアノバクテリアと他の光合成細菌との比 較研究が活発に行われている。本セミナーでは,これまで得られた知見に基づいて酸 素発生型光合成生物がどのように進化したのか考察する。 |
第241回の地惑セミナーは、井上和仁先生に光合成の初期進化について講演をしてい
ただきました。
講演内容は、「地球上で最初に光合成を始めたのはどのような生物か?」というもの
でした。これまでの研究で有力とされている説を、基礎知識をもっていなくても分か
りやすいように説明して頂きました。しかし、そこには矛盾点も多く、調べるべき事
は、現在進行中のプロジェクトを含めて、まだたくさんあるようです。
今回の講演では、専門分野が異なることもあり、こちらが導入部分でいろいろと質問
をしたため、本題である井上先生の研究内容については詳しくお聞き出来なかった部
分があり、井上先生も残念そうでした。生命について興味を持っている人は、井上先
生にアクセスをすると、セミナーでは聞けなかった面白いお話を聞かせてもらえるの
ではないでしょうか。