第258回 | |
日時 | 平成15年11月5日(水)17:00より |
場所 | 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室 石川台2号館315号室 |
講 演 者: | 寺田 直樹 氏(名古屋大学太陽地球環境研究所 総合解析部門) |
講演題目: | 金星における太陽風−電離圏相互作用 〜金星電磁圏の研究から何がわかるか〜 |
内容: |
金星は強い固有磁場を持たないために、太陽からの超音速
プラズマ流−太陽風−との相互作用は地球のものと全く異
なる様相を呈する。金星では、地球のように強い固有磁場
が「磁気圏」障害物を形成するのではなく、惑星超高層の
電離大気が太陽風に対する「電離圏」障害物を形成する。
金星超高層におけるプラズマ環境は、1960年代からの探査
機による観測、また、観測データに基づいた数値モデリン
グおよび理論によって地球に次ぐ理解が得られてきた。そ
の超高層プラズマ環境、すなわち金星電磁圏の研究は、金
星固有の現象に対する知見を与えるのみならず、地球磁気
圏現象等との比較を通して、磁気圏障害物/電離圏障害物
において生じる物理過程間の差異および共通点を探る恰好
の材料を提供する。講演では、金星電磁圏の構造・ダイナ
ミクスを概説した後に、境界層(電離圏界面:ionopause)
における太陽風−金星電離圏プラズマ間の物質・運動量・
エネルギー輸送過程について、最新の研究成果の紹介を交
えた説明を行う。また、金星(火星)、水星、地球、それ
ぞれの惑星電磁圏・磁気圏シミュレーションの結果を比較
することにより、各惑星の境界層に共通する輸送過程、及
びそのスケーリング則の解明を目指す試みについても述べ
る。
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