第259回  
日時 平成15年11月19日(水)17:00より
場所 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室
石川台2号館315号室
講 演 者: 千貝 健 氏(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球環境科学専攻)
講演題目: Presolar grains: SiC粒子とグラファイト粒子の共存
内容: 炭素質隕石中から発見されたプレソーラーSiC粒子とグラファイト粒子の生成 場所は、同位体分析により炭素星星周領域である。そして、実際に炭素星の 赤外観測からSiC粒子が星周領域に存在することがわかっている。しかし従来 の凝縮論では、炭素星星周領域での温度圧力条件で,必ずグラファイト粒子が SiC粒子よりも先に凝縮し、SiC粒子の原材料である炭素を含んだ分子が枯渇す るためにSiC粒子が生成できない。従来の凝縮論ではグラファイト粒子とSiC 粒子の光学特性を考慮せず、粒子の温度を正確に求めていなかったことがこの 原因である。SiC粒子は中心星の光をほとんど吸収しないが、グラファイト粒 子はよく吸収する。この光学特性を考慮した粒子の温度計算を行ない,グラ ファイト粒子が凝縮しても中心星からの光を吸収して再蒸発してしまうため SiC粒子とグラファイト粒子の凝縮順序が変わることを見出した。また、粒子 の光学特性を考慮した粒子生成論を用いて炭素星星周領域におけるプレソーラー SiC粒子とグラファイト粒子の生成物理条件(SiC粒子が生成する星、グラファ イト粒子が生成する星、SiC粒子とグラファイト粒子がともに生成する星の3 タイプの星の物理条件)を明確にした。