第260回 | |
日時 | 平成15年12月17日(水)17:00より |
場所 | 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室 石川台2号館315号室 |
講 演 者: | 中村 教博 氏(東北大学大学院理学研究科地学専攻) |
講演題目: | シュードタキライトの古地磁気学からわかること |
内容: |
岩石が摩擦溶融・急冷するとシュードタキライトと呼ばれるガラス質の岩石が生成する。このシュードタキライトは地震時の摩擦過程を記録している点で地震学的に重
要なばかりでなく、小惑星の天体光学的性質をも左右してしまう点で惑星科学の分野
でも最近注目を浴びてきている。そして、シュードタキライトはしばしば安定な残留
磁化をもつため、古地磁気学的にも重要である。しかし、断層運動や衝突現象によっ
てシュードタキライトが形成される際の磁気特性変化はこれまであまり問題視されて
きていない。たとえば、野島断層沿いの断層岩の古地磁気学的研究によって、地震発
光現象に伴う誘起磁場の存在が推察されているが、摩擦溶融現象と岩石磁気特性との
関連性があきらかにされていない。また、隕石の持つ残留磁化は、その母天体(小惑
星)の磁場を推定できる唯一の情報であるが、小惑星相互衝突時に生成されるシュー
ドタキライトの磁化獲得の影響はこれまで問題にされていない。そこで、このセミナ
ーではこれらの問題点を解明するためにこれまで行ってきた研究の結果:1)高速摩擦
試験機を用いた花崗岩の摩擦溶融実験、2)野島断層の古地磁気特性と3)カナダ・サド
バリー多重リングクレーター近傍のシュードタキライトの古地球磁場強度測定につい
て紹介する。また、隕石の古地磁気学に関するレビューもおこないたい。
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