第264回  
日時 平成16年6月15日(火)17:00より
場所 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室
石川台2号館315号室
講 演 者: 市原 美恵 氏(東京大学地震研究)
講演題目: 「爆発的噴火におけるマグマ破砕のイメージについて−誰も見たことはないけれど。。。−」
内容: 火山の噴火には、様々なタイプのものがあるが、大きくは、爆発的噴火と、非爆発的 噴火の 2つに分けて認識されている。非爆発的な噴火の場合、マグマは連続体(溶 岩流)として、比較的ゆっくりと噴出する。これに対し、爆発的な噴火では、粉々に 砕かれたマグマ(火山灰など)が、気体とともに急速に吹き上げられる。ここで、 「マグマの破砕」というプロセスが、噴火を爆発的な物に決定する要因であるとし て、注目を集めている。しかしながら、噴火中の火道の中を直接見ることは不可能で あり、マグマ破砕の実態は、まだ、想像の域を超えていない。噴火中の火道の絵を 書かせると、多くの研究者は「破砕面」という一本の水平な線を引く。マグマの破砕 は、この線で表されるような薄い領域で起こり、ある安定した構造を持って持続する と考えられている。このイメージは、いつの間にか常識の様に定着しているが、実際 はまだ、誰も見たことのないものである。

今回のセミナーでは、このイメージに関する以下の話題を提供し、議論したい。
1. 今までに提案された破砕面のイメージの紹介
2. 「破砕面=一本の線」というイメージの由来について
3. モデル実験で、「理想の破砕面」を実現する
4. マグマ破砕の何が重要なのか