第268回 | |
日時 | 平成16年9月22日(水)17:00より |
場所 | 東京工業大学理学部地球惑星科学教室会議室 石川台2号館315号室 |
講 演 者: | 片山 郁夫 氏 (エール大学唐戸研究室) |
講演題目: | オリビン格子選択配向とマントル異方性 ーとくに水と温度の効果に注目してー |
内容: |
近年、上部マントルにおいて地震波異方性が検出されるようになったが、その解釈
としては
弾性的に顕著な異方性をもつオリビンが選択的に配向している可能性が挙げられる。
鉱物がど
のような向きに配向するかは結晶中の最もすべり易い面と方向(スリップシステム)
が決めて
おり、従来の研究では物理的条件(例えば、歪み速度や温度)がスリップシステムを
決定して
いると考えられていた(Carter and AveLallemant, 1970)。しかしながら、近年の
唐戸研究室
の成果は鉱物中に取り込まれる微量の水がオリビンのスリップシステムに対し重要な
影響を及
ぼすことを明らかにした(Jung and Karato, 2001)。これは地震波異方性からマン
トル中での
流動方向や応力を推定するのみならず、水の分布を推測することができることを意味
している。
しかしながら、これまでの実験は高温条件(~1500K)に限られるため、水が重要な振
る舞いを
している沈み込み帯(~1000K)に応用するには温度依存性を調べる必要がある。
本発表では、高圧変形実験により得られたオリビン格子選択配向に対する水と温度
の影響を
報告し、東北日本など低温型沈み込み帯で観察される地震波異方性を議論したい。 |