今年度開催予定のセミナー
<2005年度後期>

2005年度前期までの告知では、講師の先生方の敬称が抜けておりました。
ご容赦ください。

10/26(水) 17:00から (COEプログラムとの共催)
講師 清水 健二 博士 岡山大学地球物質科学研究センター・非常勤研究員 

講演タイトル 「メルト包有物を元のマグマに戻す試み」

マントルから生成した初生マグマの組成はマントルの組成や温度を見積もったり、
マグマの生成過程を解明したりすることにおいて最も重要な要素のひとつである。
しかしながら、地表に噴出したマグマの組成はマグマ混合や脱ガス、結晶分化など
様々な過程で初生値から変化してしまっている。

メルト包有物はこの ような過程を通じて晶出する鉱物に取り込まれたマグマなので、
初生的なマグマも含んでいる可能性がある。これまでにメルト包有物の膨大な研究が
なされていて、マグマの生成メカニズムなどにおいて様々な重要な束縛条件を与えている。
しかしながら、メルト包有物の組成は取り込まれた後に鉱物の成長や
鉱物−メルト間の再平衡などで大きく変わりうる。

そこで、本研究では元のマグマの組成に近づける条件を探るため、その場観察ができる
ヒーティングステージを用いてメルト包有物の均質化実験を行った。その結果、
均質化最低温度で均質化したのち急冷することが最適な条件であることが分かった。
また、鉱物にメルトが取り込まれる時に起こり得る組成の変化も本実験結果から議論する。

最後に適切な条件で均質化したコマチアイトという27億年前の火山岩に含まれる
メルト包有物の組成(主要・微量元素、同位体組 成を含む)から得られた
結果と考察について少しふれる。