第430回

日時 令和4年3月2日 水曜日 午後5時より
場所 ZOOM会議
 <講師> 松崎 賢史 先生
 <題名> 中新世後期の地球寒冷化における北西太平洋の海洋環境変動と生態系の応答
 

【松崎 賢史 先生】 タイトル:中新世後期の地球寒冷化における北西太平洋の海洋環境変動と生態系の応答

要旨: 中新世後期(約790万年前から580万年前)、特に中高緯度で寒冷化し、生態系が現代型に移行した。東アジアは夏季モンスーンが弱化して冬季モンスーンが卓越し、イネなどC4植物を主体とした草原が拡大した。北西太平洋では、珪藻など海洋一次生産が増加し、クジラなど海洋大型生物の進化する一方、デスモスチルスや巨大ザメのメガロドンが消失した。同時期の北西太平洋の縁海である日本海でも、大きな海洋環境・生態の変化が発生した。日本海固有種の放散虫C. nakasekoiが絶滅し、珪藻が卓越して、岩相が層状放散虫岩から生物擾乱の発達する珪藻土に変化した。この要因として、同時期の北太平洋の中深層水循環強化(Zhai et al., 2021)が提唱されたが、日本沈没/隆起を伴う地殻変動も活発であり、それらの生態系への影響について検討する必要がある。 そこで本研究では、中新世後期の地球寒冷化における日本海の放散虫群集変動を高時間解像度で復元して、同時期における海洋環境の変化とその生態系の応答をモニタリングし、海洋環境変動・生態系の応答の相互作用について議論をした。放散虫は、海域や表層水-中層水-深層水で群集が異なるため、海洋循環のダイナミクスの復元が可能である。さらに、数万年毎の種毎の放散虫産出個数変動から、アジアモンスーンと海洋循環変動、そして日本列島の地殻変動が海洋環境と生態系にどのような影響を与えたか議論する。

 

Last-modified: 2022-02-21 (月) 15:08:27 (789d)