第294回

日時 平成19年6月13日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台6号館 404号室 
<講師> 山本 聡 先生 (東京大学 大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 リサーチフェロー)
<題名> 「天体衝突現象と衝突クレーター形成実験」

太陽系固体天体の表面に存在する衝突クレーターの解析から、衝突天体の情報(微惑星・小惑星のサイズ分布、軌道進化等)や太陽系天体の地表面進化・表面に関連する内部進化情報を探る上では、クレーターの大きさ・形状に対するスケーリング則が基礎方程式となる。 このスケーリング則の確立を行うには、クレーター形成過程のその場観測を行い、衝突素過程を物理的に解釈することが重要となる。しかし、従来のスケーリング則の研究では、現象論的または定性的研究が主であった為、衝突クレーター形成実験で得られるデータを統計的に解釈し、スケーリング則の定式化が行われてきた。その為、クレーター形成過程の直接観測及びその物理的解釈に基づいてスケーリング則を調べるという研究はほとんどなされていない。本研究では、シート状レーザー光を照射した粉体標的に弾丸が打ち込まれる様子を、高速ビデオカメラで撮影することで、クレーターが形成される様子を非接触でその場観測することに成功した。

本セミナーでは、この観測結果から得られるクレーター形成に関する新しい知見と、それに基づいたスケーリング則モデルについて紹介する。また、この新しいモデルが与える、過去の衝突に関わる惑星科学の研究へ影響について議論を行う。


Last-modified: 2007-06-06 (水) 11:40:16 (6168d)