第304回

日時 平成19年2月20日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台6号館 404号室 
<講師> 藤井 俊行 先生 (京都大学 原子炉実験所)
<題名> 「化学交換反応に起こる異常同位体効果と原始太陽系に起こった同位体異常との関係」

化学交換反応における同位体分別の基礎理論は、Bigeleisen 、Mayer、Ureyによって1947年に論文発表されました。その理論は、同位体濃縮係数が質量数差に比例するという質量依存の理論でした。1996年、長きにわたり信じられてきた質量依存の理論は、Bigeleisen自身によって修正されました。質量にかかわらない同位体効果の項が新たに導入され、その項はフィールドシフト効果と呼ばれる原子核の大きさや形の同位体的差異に起因する項でした。今日に至るまで、様々な元素の異常同位体効果が実験室規模の化学実験にて発見されており、それらはフィールドシフト効果として説明することが可能です。 私たちは、Bigeleisen 1996理論を用いて隕石(Allende隕石中のFUNインクルージョン、炭素質系コンドライト、普通コンドライトなど)中に見られる同位体異常を説明しようと試みました。これまでに見つかっている同位体異常のいくつかは、元素合成理論(s-プロセスやr-プロセス)では説明できないことが分かっており、特にそれら同位体分別の特徴は核電荷分布の特徴を表していることが分かりました。すなわち、元素合成理論を用いて説明できない同位体分別は、フィールドシフト効果として説明できる可能性があります。隕石母体の変性反応や原始太陽系星雲中での凝縮/蒸発過程においてフィールドシフト効果が起こった可能性、言い換えれば、隕石母体の変性反応や原始太陽系星雲中での凝縮/蒸発過程にかかわる化学種間の同位体交換反応は核の大きさや形の影響を受けた可能性がある、といえます。本公演では、フィールドシフト効果を紹介し、この効果が自然界にて起こる可能性を議論したいと考えております。


Last-modified: 2008-02-28 (木) 14:58:59 (4981d)