第306回

日時 平成20年3月5日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台6号館 404号室 
<講師> 中村 智樹 先生 (九州大学理学研究院 地球惑星科学部門 太陽惑星系物質科学)
<題名> 「スターダスト探査計画と回収試料の物質科学」

彗星は太陽系の形成期の情報を秘めた科学的に重要な小天体であ る。太陽系の天体の原材料である塵が、太陽系誕生時に外惑星領域で集 積し形成されたのがエッジワースカイパーベルト天体である。その天体 が軌道変化したものが短周期彗星であると考えられている。米国NASAが 1999年に打ち上げた宇宙探査機スターダストは、2004年に短周 期型彗星81P/ビルド2に再接近し、彗星から放出された塵を低密度物 質エアロジェルに打ち込ませ回収することに成功した。塵を乗せたカプ セルは2006年1月に帰還し、その後約1年間初期分析が行われた。 我々のグループは多数の塵に対し放射光X線回折分析行い、結晶質の塵 を見出した。このうち4試料は火成岩的な組織を示したので、これらの 塵に対し詳細な研究を行った。その結果、組織、鉱物組成、主要および 微量元素組成、酸素同位体組成などから、これらの塵は炭素質コンドラ イトのコンドリュールに近い物質であることがわかった。この結果は短 周期彗星にもコンドリュールが存在していたことを示唆する。


Last-modified: 2008-03-12 (水) 12:08:39 (6031d)