第314回 †
日時 平成20年11月19日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台6号館 404号室
<講師> 石橋 純一郎 先生 (九州大学 理学研究院 准教授)
<題名> 「海底カルデラ火山に発達する熱水循環系の水文・地球化学」
カルデラは島弧のマグマ活動を特徴づける地質構造である上に、熱水性鉱床が形
成される場としても重要である。なぜなら、熱水循環系の三要素とされる熱源
(マグマ)・水の通路(断層)・帯水層(火山砕屑層)が、カルデラには揃って
発達するからである。実際、日本近海の海底で見られる熱水系の多くは、海底カ
ルデラに見出されている。一方、九州には日本を代表する巨大カルデラがある。
これまで、阿蘇カルデラにおける地下水中の鉄濃度異常、姶良カルデラ(鹿児島
湾)における海底温泉によるヒ素・アンチモン濃集といった事象の研究を通じ
て、カルデラの水文学を考える機会に恵まれてきた。この体験を紹介しながら、
さらに島弧・背弧の熱水循環系の水文・地球化学的特徴を、中央海嶺の熱水系と
比較することを試みる。この議論は、鉱床成因論に不可欠であるだけでなく、海
底下の微生物圏の議論にも有用な情報を提供できるはずだ。