第316回

日時 平成20年12月10日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台6号館 404号室 
<講師> 辻本 拓司 先生 (国立天文台)
<題名> 「化学組成に刻まれた銀河進化の謎」

星の化学組成は、星や銀河の起源•進化を探る強力なツールである。星の化学組成を解読することによって、過去に星や超新星でどのような元素合成が行われ、そしてまた銀河はどのような進化過程を歩んできたのかを知ることができる。現在では、8-mクラスの大型望遠鏡による精力的な観測遂行のおかげもあり、我々の銀河系内での大量の高精度な星の化学組成データが蓄積され、さらには、銀河系を越え、別の系外銀河の星の詳細な化学組成まで明らかにされる時代へと突入している。これらの観測結果は、星や銀河の起源の理解に対し多くの貴重な知見を与えるとこととなったが、それと同時に、新たな理論的洞察の必要性を我々に迫る深い謎を残すことにもなった。本講演では、2つの化学組成の謎について紹介する。まず、近傍銀河の化学組成は何かおかしい、続いて、太陽より重元素量の多い星の正体は不明である、という2つの話題に焦点をあてながら化学進化の現状をレビューする。


Last-modified: 2008-12-01 (月) 14:19:54 (5625d)