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第320回

日時 平成21年6月24日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台6号館 404号室 
<講師> 伊藤 英司 先生 (岡山大学地球物質科学研究センター)
<題名> 「高圧技術の発展とこれから」

 自然科学の発展は実験技術革新に強く依拠している。とりわけ最近40年間の地球内部科学は互に相補的特徴を有する高圧力実験装置すなわちダイヤモンドアンビルセル(DAC)と多数アンビル装置(DIA式と川井式、MAA)の進歩に対応して発展してきたと断言してもよいように思う。DACはアメリカNBSで高圧力下の試料を視覚観察することを目的に初めて作成され今年はその誕生50周年に当たる。一方DIA式および川井式多数アンビル装置はそれぞれ神戸製鋼浅田研究所と大阪大学基礎工学部において1964年、1965年に産声を上げた。  以後DAC, MAAともにより高い圧力の発生、多用途性の拡大を目指して開発がすすめられた。最近ではDACによって微小試料を数100GPa、数1000Kまで加圧、加熱してその状態をX線回折、光学的測定など様々な手法で観察することができる。一方MAAではDACに比べ巨大な(~105倍)試料を加圧できるので圧力、温度を高い精度で制御した実験が可能である。したがって相平衡図の作成、物性測定用試料の作成などに威力を発揮してきた。しかし、圧力発生部材(アンビル)としてタングステンカーバイド(WC)を用いている限りMAAの発生圧力は28GPa程度にとどまる。幸いにして80年代後半から焼結ダイヤモンド(SD)がアンビルとして使用可能になり、“大容積”というMAAの特長をほとんど犠牲にすることなく最近では100GPaに近い圧力を発生させることが可能になった。  演者はたまたま川井式MAAの開発にその出発点から関わってきた。その開発過程(昔話)、最近のSDを用いた実験、さらに当面するテーマなどお話する予定である。


Last-modified: 2020-11-04 (水) 23:26:09 (347d)