第322回

日時 平成21年7月15日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台6号館 404号室 
<講師> 野村 英子 先生 (京都大学大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻)
<題名> 「原始惑星系円盤の物理・化学構造モデル~分子輝線による観測的検証法~」

若い星に付随する原始惑星系円盤は、惑星形成の場であると考えられている。近年の赤外線・電波分光観測技術の向上により、原始惑星系円盤からのダスト放射や分子輝線の詳細観測が可能になってきた。また、近い将来運行開始予定のALMAは、円盤の高空間分解能ミリ波・サブミリ波観測を可能にし、円盤内縁部の惑星形成領域の物理・化学構造を明らかにすると期待される。

ここで、原始惑星系円盤内でダスト粒子は合体成長、円盤赤道面へと沈殿し、やがて微惑星形成に繋がると考えられる。この円盤内ダスト進化は、円盤の温度分布、そしてダスト放射や分子輝線に影響するため、観測的検証が可能である。セミナーでは、円盤内ダスト合体成長の数値計算と詳細なダスト・ガス温度分布のモデル計算に基づく、近赤外線水素分子輝線による円盤内ダスト進化の観測的検証法について議論する。またさらに、ダスト表面反応により生成されたと考えられる分子の遷移線を用いた、円盤ガス降着流の観測的検証法についても議論したい。


Last-modified: 2009-07-08 (水) 14:02:25 (5399d)