第325回

日時 平成21年10月21日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台6号館 404号室 
<講師> 久城 育夫 先生 (東京大学 名誉教授)
<題名> 珪酸塩メルトの性質とマグマの挙動

珪酸塩メルトは太陽系にその形成の初期から存在し、地球や月およびその他の惑星の形成に重要な役割を果たして来た。また、惑星形成後にはマグマとして地殻の形成や惑星内部の物質および熱を表面へ効果的に運ぶ役割を果たして来た。珪酸塩メルトは珪酸塩鉱物とは違って複数の異なる構造単位を含み、幾つもの興味ある性質を示す。例えば、多くの珪酸塩メルトは通常の液体とは異なり、その粘性率は圧力の上昇により低下し、同時にメルト中のSi、Oの拡散は増大する。また、珪酸塩メルトの圧縮率は結晶より大きいために、高圧下で密度の逆転が起りメルトの密度の方が大きくなることがある。このような高圧下での珪酸塩メルトの性質から地下深部におけるマグマの挙動や地球や月の形成初期のマグマオーシャンにおける結晶作用の様子が推定できる。


Last-modified: 2009-10-14 (水) 23:38:56 (5450d)