第334回

日時 平成21年10月13日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室 
<講師> 奥住 聡 先生 (名古屋大学大学院理学研究科 素粒子宇宙物理学専攻)
<題名> 「原始惑星系円盤における塵の帯電と惑星形成への影響」

現在の標準的な惑星系形成シナリオでは、固体天体の形成は原始惑星系円盤におけるサブミクロンサイズの塵粒子(ダスト)の合体成長から始まると考えられている。 ダストの合体成長は惑星形成理論において最も解明の進んでいない部分の1つであり、進化経路を決定づける物理プロセスの洗い出しと詳細なモデル化が盛んに行われている。

本講演では、原始惑星系円盤におけるダストの帯電に焦点を当て、これが惑星形成過程に及ぼす影響を議論する。プラズマ中に置かれたダストは、電離ガス粒子を捕獲して帯電することが知られている。原始惑星系円盤は弱く電離していると考えられており、ここでもダストの帯電は起こっているはずである。ダストは帯電すると互いに静電気力を及ぼすようになるため、合体成長の描像が大きく変わる可能性がある。一方、ダストが電離ガスを吸収すると円盤ガスと磁場の結合が打ち切られてしまうので、原始惑星系円盤の進化自体にも大きな影響を及ぼしうる。本講演では、

(1) 静電反発によるダストの合体成長の"凍結"
(2) 電離ガス捕獲による円盤磁気乱流の安定化

の2点に関する講演者の研究を紹介する。


Last-modified: 2010-10-07 (木) 11:56:06 (5242d)