第336回 †
日時 平成21年11月10日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室
<講師> 中島 淳一 先生 (東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター)
<題名> 「フィリピン海プレートの沈み込みと関東地方の地震テクトニクス」
1995年兵庫県南部地震を契機に整備された防災科学技術研究所のHi netに,気象庁,大学,自治体などの既存の観測点を加えた基盤地震観測網は,いまや1200点を超える観測点からなる稠密地震観測網となった.このような稠密地震観測網で得られた高品質かつ多量の地震波形データを用いた解析により,日本列島下の構造やそこで起きている様々な現象の理解が格段に進展してきた.特に,フィリピン海プレートの沈み込みについては,深部低周波微動の発見(Obara, 2002)を始めとして,地震発生過程を理解する上で重要な多くの成果が得られるようになった.
講演では,まず最近の研究により明らかになった西南日本のフィリピン海スラブの形状を紹介する.次いで,関東下において,フィリピン海スラブの最東端部が蛇紋岩化している可能性を指摘し,現在の地震活動および過去の大地震の分布から,蛇紋岩化域が関東地方の地震テクトニクスに与える影響を議論する.