第339回

日時 平成23年5月18日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室 
<講師> 牧野 淳一郎 先生  (東京工業大学大学院 理工学研究科 理学研究流動機構 教授)
<題名> 「惑星集積過程の多体シミュレーション」

惑星集積過程のN体シミュレーションによる研究は1980年代からいくつか行わ れているが、現代的な描像を構築したのは小久保、井田らによる1990年代後半 の研究である。これらでは、数千から数万粒子からなる微惑星系の進化を直接 N体シミュレーションで追うことで、暴走的成長、寡占的成長と続くシナリオ を確かなものとした。また、系外惑星の多様性もこの基本的な描像から相当部 分は理解されている。

しかし、数千から数万という限られた粒子数では、必然的に微惑星・原始惑星 のうち大きいものだけを扱うことになる。また、ほとんどの研究では微惑星同 士の衝突の結果は合体としている。実際には相対速度やインパクトパラメータ により結果は変わり、破壊されて破片が飛び散るケースも多いはずである。

扱える粒子数が少なかったのは、計算機の能力の限界もあるが、計算量が 粒子数の2乗で増える計算方法を使っていたためでもある。惑星集積の計算で は長時間計算が必要であり、しかも衝突・合体といった短いタイムスケールの 現象を精度良く扱う必要があるため、宇宙論や銀河形成シミュレーションでは 使われているツリー法等はあまり使われていなかった。

我々は、新しいアイディアに基づいてツリー法と直接計算を組合せ、計算量は 粒子数に比例するが精度は十分に高い PPPT 法を開発した。講演ではこの方法 の原理からテスト計算の現状までを紹介したい。


Last-modified: 2011-05-10 (火) 14:40:35 (3814d)