第341回 †
日時 平成23年6月8日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室
<講師> 成田 憲保 先生 (国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 国立天文台研究員)
<題名> 「軌道が傾いた系外惑星は意外と多い:ロシター効果の観測と惑星移動理論への示唆
」
1995年の最初の太陽系外惑星の発見以降、太陽系外ではホットジュピターやエキ
セントリックプラネットといった太陽系とは全く異なる軌道の惑星が多数発見さ
れ、それらの軌道を説明するために、さまざまな惑星移動理論が提案されてき
た。そうした惑星移動理論には、惑星と原始惑星系円盤との相互作用を考えるも
のの他、惑星同士の重力散乱や伴星との相互作用などを考えるものなどがあり、
大きな軌道離心率や公転軌道の大きな傾きなどを予言していた。そこで私たち
は、惑星が食を起こすトランジット惑星系で観測される「ロシター効果」を用い
て、主星の自転軸に対する公転軸の傾き(正確にはその天球面への射影量)を測定
する観測を、2004年からすばる望遠鏡に提案し始めた。本講演の前半では、すば
る望遠鏡HDSでの観測にまつわるエピソードと成果について紹介する。本講演の
後半では、現在までのロシター効果の観測結果から示唆された新しい理論モデル
を紹介し、今後の展望について述べる。また、時間が許せばロシター効果の観測
に加えて行っている、高コントラスト直接撮像による惑星移動理論の特定の研究
についても紹介する。