第352回

日時 平成24年7月11日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室 
<講師> 大竹 翼 先生 (北海道大学大学院工学研究科 環境地質学研究室 准教授)
<題名> 「縞状鉄鉱層:資源地質学からアストロバイオロジーへ」

太古代にみられる縞状鉄鉱層のような鉄に富んだ化学堆積岩は,人類にとって重要な鉄資源を供給するだけでなく,当時の地球表層環境を推定するために用いられてきた。ところが,鉄酸化には様々なメカニズムがあり,化学堆積岩中の鉄酸化物の存在は酸化的な環境の直接的な証拠とはならない。また,当時の環境復元には続成/変成作用の影響を考慮する必要がある.そこで最近,縞状鉄鉱層中の微量元素や同位体組成を用いてこれらの問題を克服しようとする研究が増えている。我々の研究では,南アフリカに見られる32億年前の浅海性化学堆積岩の化学組成や同位体組成より,少なくとも一部の浅海が酸化的になっていた事が明らかになりつつある。また,続成作用中における初生的な赤鉄鉱から縞状鉄鉱層中で最も普遍的にみられる磁鉄鉱への交代作用についての実験的な研究についても紹介したい。


Last-modified: 2012-07-05 (木) 13:39:06 (4312d)