第355回

日時 平成24年11月7日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室 
<講師> 篠原 育 先生 (JAXA/宇宙科学研究所 学際科学研究系 准教授)
<題名> 「Geotail衛星が拓いた宇宙空間プラズマ物理」

 宇宙空間は希薄で高温なプラズマに満たされた空間だが,そこは,磁気嵐に代表される,太陽面活動が地球に影響を及ぼす擾乱を伝えるダイナミックな現象の場である.

 1992年7月24日に打ち上げられた日-米共同ミッションのGeotail衛星は今年,打ち上げから20周年を向かえた.Geotail衛星の打ち上げ当初の主目的は地球の夜側にのびる尾部領域のダイナミクスを解き明かすことにあり,20年以上に及ぶ継続観測からは多岐に亘る成果があがっているが,本セミナーでは,Geotail衛星が切り拓いた宇宙空間におけるプラズマ物理,特に磁気リコネクションや衝撃波の物理について紹介する.

 Geotail衛星の高性能な観測機器群による観測は,プラズマと電磁場の相互作用について,運動論的なレベルでの議論を可能とし,また,その成果に触発された数値シミュレーション研究の発展に繋がっている.セミナー中では,観測結果と共に数値シミュレーションとの関連についても紹介したい.

 Geotail衛星にはじまるSTP分野の問題意識は近年,あるいは将来の惑星探査における惑星磁気圏観測データの到来と共に比較惑星磁気圏学的な研究に広がっており,今後,惑星科学との接点を深めていきたい.


Last-modified: 2012-11-02 (金) 15:31:28 (4192d)