第361回 †
日時 平成25年5月29日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室
<講師> 小南 淳子さん[ELSI]、平野 照幸さん[佐藤研 PD]、葛原 昌幸さん[佐藤研 PD]
<題名> 「ニューカマーシリーズ」
【小南さん】
タイトル:微惑星集積に対する微惑星連星の影響
要旨:
私は現在まで、N体計算を用いて太陽系の形成過程を調べてきました。本研究はTrans-Neptunian Objects(TNO天体、海王星以遠天体、もしくはカイパーベルト天体)などが存在する円盤外側に着目します。この領域が地球型惑星領域と大きく異なる点は、衝突などに関係した量である惑星重力半径と物理半径の割合にあります。今回の発表では、円盤外側のTNO領域などでは惑星の集積過程が地球型惑星領域とは違ってくる様子を説明致します。
【平野さん】
タイトル:太陽系外トランジット惑星系の観測
要旨:
惑星が恒星の前を通過して食を起こす太陽系外トランジット惑星系では,視線速度法のみからでは得られない,貴重な情報を得る事が出来る。測光観測からは惑星の半径や密度の推定が可能となり,惑星の内部構造や組成を推定する上での観測的制限となる。一方,トランジットの分光観測からは惑星の大気や軌道傾斜角などの情報が得られ,これらは惑星系を特徴付ける上で極めて重要なものである。本講演では,現在進行中のトランジット惑星探査について触れた後,それらにより発見された多様なトランジット惑星系の観測から,どのような情報を引き出す事が出来るかを概観する。
【葛原さん】
タイトル:直接撮像観測による系外惑星の形成および進化の研究
要旨:これまで、およそ900の系外惑星が主にドップラー法やトランジット法により検出されている。これらの手法は、惑星がその主星の周囲を公転することによって主星のみかけの明るさや視線速度が変化することに基づいて、惑星を探査する「間接的」な観測方法である。それに対して、系外惑星を直接的に撮像することは技術的に困難であったが、近年の技術的な進歩により徐々に可能になってきた。実際に、これまでいくつかの系外ガス惑星が撮像されている。間接法が主星遠方の軌道を公転する惑星や、若い星に付随する惑星の探査を比較的苦手にしているのに対して、直接撮像法はそのような惑星の探査に特に有効な手法である。我々は、最新の撮像技術とすばる望遠鏡を組み合わせて、系外ガス惑星を直接撮像法によって探査している。探査の結果として、星形成領域に存在する連星の周囲にガス惑星の候補天体を検出した。さらに近年、地球近傍の太陽型星を公転するガス惑星の検出に成功した。本発表では、それらの検出に成功した惑星を中心に、我々が行なっている探査について紹介していきたい。