第367回 †
日時 平成25年11月6日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室
<講師> 安井 千香子先生 ( 東京大学大学院 理学系研究科 天文学専攻 特任研究員)
<題名>「原始惑星系円盤の寿命」
<要旨>
原始惑星系円盤の寿命は、星生成過程や惑星形成過程に直接影響を及ぼす、最
も重要な基本量のひとつである。円盤の寿命は、これまでは主に小質量星
(<~1Mo)について太陽近傍(D <~ 2 kpc)の様々な領域における詳細な観測か
ら、~5–10Myrと求められてきた。しかし、この結果は限られた質量範囲の星
について太陽近傍という限られた領域においてのみ適用できるものであり、よ
り普遍的な星・惑星形成をあきらかにするためには、銀河系全体(ひいては系
外銀河まで)のような広域における円盤寿命をより幅広い質量範囲について明
らかにすることが必須となる。またその結果、異なる物理パラメータ下での円
盤寿命の変化の有無から、惑星形成理論や円盤進化モデルに制約をつけること
ができる可能性もある。
今回は、低金属量下(太陽金属量の1/10)での原始惑星系円盤の寿命と、中質量
星(>~1.5Mo)の原始惑星系円盤の寿命を定量的に導出について紹介する。そし
て、金属量と中心星質量という2つの物理パラメータを変化させたときの円盤
寿命の変化から示唆された円盤進化と惑星形成への制約について議論する。