第375回

日時 平成26年7月9日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室 
<講師> 坂井 南美 先生 (東京大学大学院理学系研究科 物理学教室 助教)
<題名> 電波望遠鏡で探る星の誕生と分子進化

星は星間空間に漂うガスや塵が自らの重力で集まって生まれる。生まれた星の周りにはまだたくさんのガスが残っていて(エンベロープガス)星に向かって降り注いでいる。それと同時に、星の周りでは原始太陽系のもととなるガス円盤が成長する。このような過程において、ガスの化学組成はどのように変化していくのだろうか。私達の住む太陽系の起源を考えるとき、中心星の周りにガス円盤がどのように作られ、どのようにして惑星へと進化するのかという物理的な起源を探ることはもちろん重要であるが、この豊かな惑星がどのようにして作られたのかという、環境としての起源を考えることも同じくらい重要な問題である。近年、同じような進化段階にある原始星であってもその周囲のガスの化学組成が天体によって大きく違い得ることがわかってきた。異なる化学組成のエンベロープガスの中で誕生するガス円盤では、当然、その先に形成される惑星系の化学組成も異なる可能性が高く、この化学的多様性の行く末を調べることは上記の問題の解決へと繋がる重要なステップと言える。セミナーでは、星形成過程における化学的多様性とその起源について議論するとともに、ALMA望遠鏡を用いることでごく最近明らかになった、円盤形成に伴う劇的な化学変化についてお話したい。  


Last-modified: 2014-06-30 (月) 21:28:06 (3585d)