第387回 †
日時 平成27年07月15日 水曜日 17時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室
<講師> 勝川 行雄 様(自然科学研究機構 国立天文台 助教)
<題名> 太陽彩層の活動現象 - ひのでの成果とその先へ -
太陽観測衛星「ひので」が2006年に観測開始してからすでに約9年が経過しているが、精密な
太陽観測では今もなお独壇場である。「ひので」の特徴は高解像度観測と高精度磁場観測で
ある。前者によって太陽彩層の色々な場所で起こる超音速流や振動・波動現象がとらえられ、
後者によって、それらの彩層活動の起源となる磁場構造を調べることができる。特に黒点の
周辺は、複雑に入り組んだ強力な磁場が生み出す活動現象の宝庫であり、「ひので」によって
研究が進展した領域である。一方、1万度の彩層活動が、100万度超の高温大気の加熱や太陽風
加速に影響を及ぼしている可能性も提案されており、重要な研究課題となっている。2013年
から観測を開始したIRIS(Interface Region Imaging Spectrograph)衛星によって、高解像度の
彩層・遷移層の観測が可能になり、彩層1万度で見える現象が10万-100万度のより高温な現象と
関係していることが見えてきている。最後に、次期太陽観測衛星として検討中のSOLAR-C衛星に
ついて簡単に紹介する。