第389回

日時 平成27年07月29日 水曜日 17時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室 
<講師> 廣瀬 重信 様(国立研究開発法人 海洋研究開発機構 数理科学・先端技術研究分野)
<題名> 降着円盤の熱平衡曲線

降着円盤とは、コンパクト星や原始星など様々な重力天体の周囲に普遍的に形成されるガス円盤である。降着円盤は、差動回転に伴うシアストレスを通じた角運動量輸送とエネルギー散逸によって、ガスを回転しながら重力天体に落下させる。こうして、降着ガスの重力エネルギーを持続的かつ効率良く熱エネルギーに変換することで、宇宙における様々な高エネルギー現象・活動現象のエンジンとして働くほか、原始惑星系円盤の場合には惑星形成の舞台にもなる。

降着円盤の熱平衡曲線とは、定常状態にある降着円盤のある半径において、ある面密度のガスからどれだけの輻射エネルギーが生み出されるか、を表す関係式であり、加熱(シアストレスによるエネルギー散逸)と冷却(表面からの輻射)の釣り合いから決まる。この熱平衡曲線は、恒星の「質量−光度」関係に相当し、降着円盤理論の基盤となる関係式であるが、正確に求めることが難しい。なぜなら、降着円盤におけるシアストレスの起源である乱流と、熱輸送の手段である対流と輻射輸送の取り扱いが困難だからである。本講演では、講演者が行っている、輻射磁気流体力学シミュレーションを用いた熱平衡曲線の第一原理計算の取り組みの中で、特に興味深い例として、水素電離を伴う降着円盤(矮新星降着円盤と原始惑星系円盤)について取り上げる。


Last-modified: 2015-07-22 (水) 13:20:44 (2280d)