第396回 †
日時 平成28年 8月 3日 水曜日 17時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室
<講師> 高田 将郎 先生(東京大学大学院理学系研究科天文学教室)
<題名> 星震学の世界
星震学とはいわば星の地震学という意味で、星の表面で観測される振動現象を
利用して、その内部の構造を探るという研究分野である。恒星はいうまでもな
く宇宙を構成する基本的な要素であり、その研究は長い歴史を持つ。そのため、
恒星の内部構造と進化の理論は、天文学の中でもよく確立した分野である。し
かしながら、星の中を直接観測的に調べる手段はないため、個々の星について、
現状の恒星理論による理解がどれほど正しいか、詳細に検証することは従来難
しいとされてきた。こうしたなか、20世紀後半には、太陽で振動現象が発見
され、それを用いて内部構造を調べる研究(日震学)が大きく発展した。さら
に、21世紀になると、他の星についても宇宙探査機からの高精度観測が実現
され、星震学の研究が急速に発展しつつある。本講演では、星震学の歴史やそ
の基礎となる物理を解説し、さらに現在この分野で活発に議論されているトピッ
クをいくつか紹介する。