第411回

日時 平成30年1月24日 水曜日 17時より
場所 東京工業大学 石川台2号館 318号室 
<講師> 相川 祐理先生(東京大学理学系研究科 天文学専攻 天文学科)
<題名> 原始惑星系円盤での重水素濃縮過程

  地球の海水や太陽系始原物質にみられる重水素濃縮は低温下での化学反応の名残であると考えられている。濃縮は分子雲の他、原始惑星系円盤でも起きる可能性がある。円盤内での重水素濃縮がどこでどの程度起こるのかを探るため、近年ALMA などで重水素化分子の輝線観測が行われ、強度分布が分子種、天体によって異なることが分かってきた。そこで我々は、原始惑星系円盤モデルにおいて重水素を含む化学反応ネットワークモデルの数値計算を行い、重水素濃縮過程を調べた。モデルには重水素濃縮に影響を及ぼす H2 などのオルソ・パラ変換も含まれている。その結果、円盤内の領域によって異なる重水素濃縮反応が効くことがわかった。特に円盤上層部や内側の温かい領域では、従来注目されていなかった D原子による交換反応も効く。また、従来のモデルはCH2D+による重水素化を過大評価することもわかった。宇宙線が円盤に入れる場合はオルソ/パラ比はほぼ熱平衡になっており、これを用いて重水素化反応および逆反応の反応率を計算すべきである。講演ではこのほか、乱流拡散、ダストサイズ、C/O比の影響も議論する。


Last-modified: 2018-01-23 (火) 22:31:59 (631d)