第412回 †
日時 平成30年7月18日 水曜日 午後5時より
場所 東京工業大学 地球生命研究所 ELSI-1ホール
<講師> 麻生 尚文 先生、石川 晃 先生
<題名> 「ニューカマーシリーズ」
【麻生 尚文 先生】
タイトル:授業では学ばない地震学
要旨:
地震の波を調べると、地震の仕組みが分かり、テクトニクス(地球の変動)の解明へとつながる。また、地震の波を調べると、地球内部の構造が分かり、地球内部の物質循環の解明へとつながる。このように、地震学を通して現在のダイナミックな地球を理解することは、地球や惑星の進化プロセスを考える上で重要な知見となる。
地震学には巨大地震の解析や発生予測の他にも、多様なテーマがある。例えば、私はこれまで、火山地域の「変な」微小地震の仕組みを調べてきた。また、氷河での地震波観測により、氷河内の水の流れを可視化することにも取り組んできた。本発表では、私がこれまでに取り組んできた研究を中心に、いくつかの最新トピックスを紹介することで、地震学の奥深さや面白さを伝えたい。
【石川 晃 先生】
タイトル:レイトベニアとマントル進化-親鉄元素地球化学からの制約-
要旨:
地球マントルにおける「強親鉄性元素の過剰問題」を説明するために提唱されたレイトベニア仮説は,月-地球系の形成過程のみならず,地球表層環境や生命の起源・進化を議論する上でも重要な仮説として広く知られている。しかし、レイトベニアが生じた時期や起源物質などの核心部分についても未だ不明な点が多く、仮説の域を出ていないのが現状である。本発表では、様々な時代のマントル由来試料を対象とした地球化学的研究からレイトベニアがどのように捉えられるのかを概説し,固体地球進化モデルを構築する上での意義や今後の展望について紹介したい。