ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)

X SERIES 2 (Thermo SCIENTIFIC)

ICP-MSとは、イオン源に誘導結合プラズマを用いる質量分析である。プラズマは高温でイオン化される陽イオン、自由電子、および中性分子と原子で構成される「イオン化ガス」のことである。プラズマはほぼ電気的に中性であるが、構成粒子が帯電しているため、通常のガスとは状態が異なる。プラズマは物質の4つの基本的な状態の1つであり、固体、液体、気体とは異なる。微量元素の分析に用いるICP-MSは、サンプル導入システム、プラズマ生成、サンプラー/スキマーインターフェイス、イオン光学系、質量分析計などのいくつかのセクションで構成されている。

通常、微量元素の分析にはアルゴンプラズマが用いられる。アルゴンプラズマは石英ガラス管の周りに巻いた誘導コイルに高周波数の大電流を流し、中央を流れるアルゴンガスに放電を行うことによって発生させる。このアルゴンプラズマに溶液化した目的試料を流して元素をイオン化し、プラズマ後方に位置するイオンレンズを通して四重極質量分析部に送り込む。イオンビームの検出は二次電子増倍管(SEM)によって行われる。なお、我々の研究室では、固体試料にレーザーを照射することにより試料導入を行う「レーザーアブレーション法」も行っている。