TIMS (表面電離型質量分析計)

TRITON Plus (Thermo Fisher Scientific)

TIMSは金属フィラメントに塗布した目的元素を高真空のイオン源に入れ、電流を流すことで加熱・イオン化させて同位体分析を行なう装置である。加熱によって発生したイオンビームは、セクター型の磁場を通過することによって質量分離され、ファラデーカップまたは二次電子増倍管(SEM)のいずれかで計測される。TIMS分析では、測定前にサンプルから対象元素のみを高純度で分離・抽出する必要がある。TIMSではHfやThなど、イオン化ポテンシャルの大きな元素の測定は容易ではない。そのため、近年の地球化学ではICP-MSを使用した同位体測定が主流となりつつ

ある。しかし、しかしTIMSは生成するイオンの運動エネルギー分布がおよそ0.5eV程度と、プラズマによるイオン化(100eV以上)に比べ極めて小さいため、より安定したイオンビームを長時間保持することができる。そのため、イオン光学系や検出器が改良された近年のTIMSでは、外部精度数ppmの超高精度同位体測定が可能であり、地球化学的な応用範囲はますます広がっている。我々の研究室では、TIMSを使用して、地球および地球外物質中のSr、Mo、Te、Nd、Sm、Er、Yb、Os、Pb、Th、およびUの同位体組成を分析している。